1970年代、ブルガリはスイス時計製造の伝統とイタリアの大胆なデザイン感性を融合させ、独自の時計コレクションを築き上げてきた。その中でも「レッタンゴロ(Rettangolo)」は、イタリア語で「矩形」を意味する名の通り、直線的で幾何学的な美しさを追求したシリーズである。2000年に登場し2009年まで製造されたレッタンゴロ クロノグラフは、1930年代のイタリア産業デザインにインスピレーションを得た、ブルガリの美学が凝縮された一本である。
この時計の第一印象を決定づけるのは、その縦約47mm、横約29mmという細長い矩形ケースである。ステンレススチールまたは18Kイエローゴールドのケースは、サテン仕上げとポリッシュ仕上げを巧みに使い分け、光を受けるたびに複雑な陰影を描き出す。6本のネジで固定されたケースバックと、リューズを挟むように配置されたクロノグラフプッシャーが、プロフェッショナルな計器としての機能美を物語っている。
文字盤のデザインもまた、このモデルの個性を際立たせる要素である。ホワイトまたはブラックのダイアルには、3時と9時に誇張されたアラビア数字が配され、視覚的なインパクトを与えている。特筆すべきは、2時位置のスモールセコンド、6時位置の30分積算計(日付窓付き)、10時位置の1/10秒計という独自のサブダイアル配置である。ブルーの針を採用したモデルもあり、洗練されたアクセントを添えている。
心臓部に搭載されるのは、23石の高精度クォーツムーブメント。ブルガリ初のクロノグラフ搭載クォーツモデルとして、確かな精度とメンテナンスの容易さを提供する。サファイアクリスタルの風防と30mの防水性能も、日常使いにおける十分な実用性を保証する。
ステンレススチールブレスレットまたはレザーストラップが用意され、いずれもブルガリのサイン入りフォールディングクラスプで留められる。全体の重量は約92グラムから122グラムで、確かな存在感と快適な装着感を両立している。
レッタンゴロ クロノグラフは、単なる時計ではない。それは、1930年代のイタリアンデザインへのオマージュと、ブルガリの革新的なスピリットが融合した、時を閉じ込める矩形の宝石なのである。 |