「僕は妥協できない性格の犠牲者なんだ。コストを抑えるか、性能を極限まで追求するかの岐路に立つたび、僕はいつだって後者を選ぶ」。リシャール・ミルのこの言葉は、ブランドの哲学を完璧に体現している。2011年に発表されたRM 032は、この妥協なき精神が深海という過酷な環境と向き合った、機械仕掛けの鎧である。
50mmという圧倒的なケース径は、一目でそれと識別できる存在感を放つ。グレード5チタンとカーボンTPT®を組み合わせたトリプルケース構造は、単なる大きさではなく、300mの水圧に耐えるための必然として設計されている。特許取得のロッキングクラウンは、リューズのリングを回転させるだけで、 ロレックスコピー時計クロノグラフプッシャーごと完全にロックする。水中での誤操作を防ぎ、深層での絶対的な安全性を約束するこの機構こそ、リシャール・ミルの革新性の象徴である。
スケルトン加工された文字盤から覗くキャリバーRMAC2は、4Hz(28,800振動/時)のハイビートで時を刻む。可変ジオメトリーローターが装着者のライフスタイルに合わせて巻き上げ効率を最適化し、約50時間のパワーリザーブを確保する。フライバッククロノグラフは、計測中の針を瞬時にゼロへ戻し再計測を可能にする、まさにプロフェッショナルのための機能だ。
12時位置の特大デイト表示と、4時から5時にかけて配置された月表示は、水中でも陸上でも確かな実用性を発揮する。3時位置の作動表示は、スーパールミノバの発光と相まって、暗い深海でもムーブメントの鼓動を確認できる。
ユニダイレクショナルベゼルは、22本の星型スクリューで固定された3層構造。衝撃による位置ずれを完全に防ぎ、潜水時間の計測ミスを許さない。ケルレッツ製のストラップは、薬品や紫外線に一切劣化せず、327℃までの耐熱性を持つという、もはや常軌を逸したオーバーエンジニアリングの塊である。
RM 032は、単なる時計ではない。それは、8度の世界記録を持つフリーダイバー、アルノー・ジェラルと共に深海へ挑むための、機械仕掛けの相棒なのである。 |