アルゼンチンの草原、ポロフィールド。時速200kmを超える白球が飛び交い、馬蹄が轟くその過酷な競技場で、伝説的な選手パブロ・マクドナウは腕元に特別な相棒を携えている。2018年、リシャール・ミルはこのポロ界の王者との協業によって、RM 53-01 トゥールビヨン パブロ・マクドナウを世に送り出した。世界限定30本というこの奇跡の機械は、5000Gもの衝撃に耐える驚異的な耐衝撃性能を誇る。
44.50mm x 49.94mmのケースは、航空宇宙産業から着想を得たカーボンTPT®製。特徴的な杢目模様の漆黒のボディは、傷や衝撃に対して驚異的な耐性を持つ。厚さ16.15mmのケースは、サテン仕上げによって上品な陰影を描き出す。
この時計の真髄は、その「宙吊り」ムーブメントにある。直径わずか0.27mmの編組鋼製ケーブルが、ムーブメントをケースから浮かせて吊り下げている。10個のプーリーと4つのテンショナーによって張力を調整されたこのケーブルサスペンション機構は、外部からの衝撃を吸収し、 パネライコピートゥールビヨンという最もデリケートな機構を守る。
特筆すべきは、世界初の「ラミネートサファイアクリスタル」の採用である。自動車のフロントガラスと同様に、2枚のサファイアクリスタルの間に薄いポリビニルフィルムを挟んだこの画期的な構造は、強烈な衝撃を受けても割れることなく、最悪の場合でもひび割れでとどまる。ポロのマレットが直撃しても、文字盤を守り抜くのだ。
手巻きキャリバーRM53-01は、グレード5チタン製の二重地板と19石を備え、約70時間のパワーリザーブを誇る。12時位置にはトゥールビヨンが優雅に回転し、21,600振動/時(3Hz)の鼓動を刻む。ブルーのラバーストラップは、快適な装着感とともに、50mの防水性能を確保する。
RM 53-01は、単なる時計ではない。それは、伝説的ポロ選手と天才時計技師の情熱が結実した、機械仕掛けの鎧であり、宙を舞うケーブルが支える芸術作品なのである。 |