1874年、ルイ・カルティエがパリに工房を構えてから一世紀余り。カルティエは宝飾芸術と時計製造の架け橋として、数多くの名作を生み出してきた。その中でも「ロトンド ドゥ カルティエ」コレクションは、円(ロトンド)の名が示す通り、完全なる円形美を追求したシリーズである。Ref.W1556238は、このコレクションに新たな鼓動をもたらす、18Kピンクゴールド製の自動巻きクロノグラフである 。
40mmのケースは、サテン仕上げとポリッシュ仕上げを巧みに使い分け、光を受けるたびに繊細な陰影を描き出す 。リューズにはカボションカットのブルーサファイアが象嵌され、カルティエの伝統的な美学を静かに主張している 。ケースバックはシースルー仕様で、内部の精緻な機械の鼓動を覗かせることができる 。
この時計の最大の魅力は、シルバーのサンレイ仕上げ文字盤にある。放射状に広がる光の筋が、奥行きと優雅さを同時に生み出している 。カルティエのアイコンであるローマ数字は、ブラックでくっきりと浮かび上がり、3時位置の30分積算計、9時位置のスモールセコンド、6時位置の12時間積算計がバランスよく配置されている 。特筆すべきは、7時位置のローマ数字「VII」に微細な彫刻で「CARTIER」の文字が刻まれていること。所有者だけが知る、この小さな秘密が所有感を一層高めている 。
心臓部に搭載されるのは、カルティエ自社製のキャリバー1904-CH MCである。28,800振動/時、35石、約48時間のパワーリザーブを誇るこのムーブメントは、コラムホイールを採用し、クロノグラフ操作の滑らかさと正確性を追求している 。地板にはペルラージュ、橋板にはコート・ド・ジュネーブが施されるなど、目に見えない部分にまで伝統的な装飾技法が惜しみなく注がれている。
ブラウンのアリゲーターストラップと、18Kピンクゴールドのフォールディングバックルが、全体の佇まいをさらに格調高くまとめる 。30mの防水性能は、日常使いにおける十分な実用性を保証する 。
ロトンド ドゥ カルティエ W1556238は、時を計る道具である前に、身に着ける者の腕元で静かに時を紡ぐ、精緻な詩篇なのである。 |