2000年、ドイツのグラスヒュッテに一つの記念碑が誕生した。A.ランゲ&ゾーネが「ランゲマティック エマイユ Ref.302.025」を発表したのである。このモデルは、ブランド再建から10周年を記念し、新たな千年紀の幕開けを祝うために、世界で僅か500本のみが製作された特別な一本である。
このモデルの最大の特徴は、その見事な白磁の文字盤にある。グラン・フー(大焼き付け)技法で焼成された純白のエナメル文字盤は、時を経ても色褪せることのない永遠の美しさを湛えている。そこに描かれたローマ数字は漆黒のコントラストを生み、特に12時位置に配された赤色の「XII」は、最高級の懐中時計を彷彿とさせる伝統へのオマージュである。針は焼き戻し処理が施されたブルースチール製で、その凛とした輝きが白磁の文字盤に一層の気品を添えている。
直径37mm、厚さ8.6mmというプロポーションは、クラシカルなドレスウォッチの理想形であり、950プラチナ製ケースの重厚な存在感は、身に着ける人の腕元に静かな自信を与える。ケースバックはサファイアクリスタル製で、その奥にはドイツ銀製の3/4プレートや手彫りのテンプ受けなど、伝統的なグラスヒュッテ様式を継承したムーブメントの芸術的な仕上げが鑑賞できる。
心臓部には自社製自動巻きキャリバーL921.7「サクソマット」を搭載している。このムーブメントの真の革新は、特許取得のゼロリセット機構にある。リューズを引き出すと秒針が自動的に12時位置にジャンプして停止し、正確な時刻合わせを可能にする。約46時間のパワーリザーブを備え、21金製のマイクロローターが効率的に巻き上げる。
ランゲマティック エマイユ 302.025は、伝統工芸と最先端の機構が融合した、現代の時計史に刻まれる傑作である。この1本には、復活を遂げたブランドの誇りと、時計製造への飽くなき情熱が凝縮されている。 |