スイス時計製造の伝統と、前衛的な芸術表現の融合。ウブロは1980年の創業以来、「アート・オブ・フュージョン(融合の芸術)」を旗印に、ゴールドとラバーなど異なる素材の組み合わせで時計業界に革命を起こしてきた。その精神を最も先鋭的な形で体現するコラボレーションの一つが、ロンドンの高級タトゥースタジオ「サンブルー」との協業である。Ref.648.NX.0107.RX.MXM23は、刺青の線描を時計の構造そのものに落とし込んだ、世界限定200本のアートピースである 。
42mmのトノー型(樽型)ケースは、サテン仕上げとポリッシュ仕上げを巧みに使い分けたチタン製。その表面には、サンブルーの創設者であるマキシム・プレシオ=ブッシがデザインした幾何学模様が、まるで彫刻刀で刻まれたかのように浮かび上がる。特徴的なのは、ケースからベゼル、ラグに至るまで、すべての直線と曲線が「拡張されたボディーアート」として計算されていることだ。6本のH型チタンスクリューが、この幾何学的な迷宮にアクセントを添える 。
この時計の真髄は、サファイアクリスタルのスケルトン文字盤にある。剥き出しになったムーブメントの地板や橋板には、刺青の針が描くような鋭角的なラインが刻まれ、時を刻む機械そのものが一つのボディアートへと昇華している。アプライドのアラビア数字と針は、この透明なキャンバスの上でくっきりと浮かび上がり、視認性と美しさを両立している 。
心臓部に搭載されるのは、ウブロ自社製の自動巻きスケルトンクロノグラフムーブメント、キャリバーHUB4700である。36,000振動/時というハイビート(高振動)を誇り、1秒を8等分する精度で時を刻む 。31石、278の部品から構成され、約50時間のパワーリザーブを確保している 。コラムホイールを採用したクロノグラフ操作は滑らかで、計測する喜びを提供する。
ブラックのラバーストラップは、透明なインサーションを備え、ケースの幾何学模様と一体化するようなデザインとなっている。チタン製フォールディングバックルで確実に固定され、100mの防水性能も日常使いにおける十分な実用性を保証する 。
648.NX.0107.RX.MXM23は、単なる時計ではない。それは、ボディアートという一過性の芸術を、永久に刻む機械工学の作品へと昇華させた、ウブロとサンブルーが紡ぐ融合の到達点なのである。 |