時計の世界に「パイロットウォッチの名門」があるとすれば、ブライトリングはその筆頭に挙げられるだろう。コルト オートマチック Ref.A1738811.BD44.173Aは、同ブランドが1980年代に軍用時計として誕生させたコルト・コレクションに属する、堅牢性と機能性を追求した現代の傑作である。
このモデルの最大の特徴は、その44mmという堂々たるステンレススチール製ケースにある。表面にはポリッシュとサテン仕上げが施され、光の加減で異なる表情を見せる。ケースの剛性は高く、20気圧(200m)の防水性能を備えており、プロフェッショナルな使用にも耐えうる堅牢性を誇る。
ダイヤルは、ブラックを基調としており、視認性を極限まで追求した設計が施されている。太く見やすい針とインデックスには夜光素材が塗布され、暗闇でも確かな視認性を確保する。3時位置には日付表示窓が配置され、実用性を高めている。このミニマルでありながらも機能的なレイアウトは、パイロットが一瞬で時間を読み取れるよう設計された軍用時計の遺伝子を色濃く継承している。
心臓部には、ブライトリング自社調整を施した自動巻きムーブメント「キャリバー17」が搭載されている。ETA 2824-2をベースとするこのムーブメントは、COSC認定のクロノメーターとして、その精度は保証されており、約40時間のパワーリザーブを提供する。サファイアクリスタルの風防は両面無反射コーティングが施され、視認性を妨げない。
ブライトリングは2020年にコルト・コレクションの生産を終了している。そのため、このA1738811.BD44.173Aは、ブライトリングの歴史の中でも特にコストパフォーマンスに優れた、手に入りにくい「最後のコルト世代」の一本と言えるだろう。単なる時計ではなく、ミリタリーウォッチの伝統とスイス時計製造の精度が融合した、身に着ける歴史そのものなのである。 |