A.ランゲ&ゾーネが2015年に発表した「1815トゥールビヨン Ref.730.025F」は、ブランドの創設者フェルディナント・アドルフ・ランゲへの敬意を込めた、世界限定100本の特別なタイムピースです。このモデルは、伝統的なドイツ時計製造技術の粋を集め、現代の精度への飽くなき追求を結実させた、まさに「可動する芸術品」と呼ぶにふさわしい一本です。
このモデルの最大の特徴は、キャリバーL102.1が持つ二つの特許機構にあります。それは「秒針停止機構」と「ゼロリセット機能」です。リューズを引き出すと、秒針が即座に停止してゼロ位置に戻り、保持されます。これにより、一秒単位での正確な時刻合わせが可能になるのです。この二つの機構を組み合わせることは、ランゲの歴史においても初めての試みでした。
ケース径39.5mmの950プラチナ製ケースは、落ち着いた銀色の文字盤と見事に調和しています。そして何より、6時位置に配された大型の開口部から覗く1分間トゥールビヨンは、この時計の最大の見どころです。複雑な装飾が施された大型のブリッジが、その旋回する美しさを一層引き立てています。
この時計には、ブルースチール製の針とブラックのアラビア数字が採用され、クラシカルでありながら抜群の視認性を実現しています。約72時間のパワーリザーブを誇る手巻きムーブメントは、サファイアクリスタルのケースバックからその精巧な仕上げを鑑賞することができます。
1815トゥールビヨン 730.025F。それは、ランゲというブランドの歴史と未来を繋ぐ、現代の時計製造が到達した頂点の一つです。その限定性と圧倒的な精度は、所有する人だけに語り継がれる、静かなる誇りとなるでしょう。 |