2019年、ブルガリは「オクト ローマ トゥールビヨン サファイア Ref.103032」を発表した。このモデルは、古代ローマのマッセンティウス聖堂の八角形に着想を得た独創的なデザインと、最先端の素材を融合させた、世界限定50本の希少なタイムピースである。
このモデルの最大の特徴は、その革新的なケース構造にある。直径44mmのチタン製ケースは、中央に高強度のサファイアクリスタル製のリングを挟み込むという、ブルガリ独自の「サンドイッチ構造」を採用している。この透明なサファイアの層が、ケース内に光をふんだんに取り込み、内部で鼓動するムーブメントをまるで浮かび上がらせるかのように演出する。そのため、チタンの落ち着いたマットな質感と、サファイアの透明感、そしてスケルトン化されたムーブメントが織りなす陰影は、見る角度によって絶えず変化する、唯一無二の芸術的な美しさを創り出している。
心臓部には、自社製の手巻き機械式ムーブメント「キャリバーBVL 206」を搭載している。このムーブメントの核心は、セラミック製ボールベアリング上で回転する「フライング・トゥールビヨン」だ。固定式の上部ブリッジを持たないこの設計により、トゥールビヨンケージが文字盤上に浮かんでいるかのような視覚効果を生み出している。パワーリザーブは約64時間と、複雑機構を搭載しながらも実用的なスペックを備えている。
また、このモデルは視認性にも配慮が行き届いており、夜光塗料を施した針と、ケースバック側から確認できるパワーリザーブ表示機能が備わっている。ブラックのクロコダイルストラップが、チタンケースの未来的な印象にクラシカルなエレガンスを加えている。
オクト ローマ トゥールビヨン サファイア 103032。それは、古代ローマの建築美と、現代のマテリアルサイエンス、そして伝統的な時計技術が融合した、ブルガリの革新性を体現する一本である。世界に50本しか存在しないその希少性は、この時計をコレクター垂涎の的としており、所有者の腕元で、光と影のドラマを永遠に奏で続けるだろう。 |