1931年、インドで行われていたポロマッチの過酷な衝撃から腕時計のガラスを守るため、ジャガー・ルクルトは時計史に残る革新的な機構を生み出した。ケース全体が反転し、裏面を表に向けることで衝撃から守る「レベルソ」の誕生である。それから90年以上、この矩形の時計はアールデコ様式のアイコンとして、数えきれない変奏を生み出してきた。Ref.Q328853J「レベルソ・ワン」は、この伝説的コレクションのレディースモデルであり、機械式時計の精緻さと宝飾芸術の優美さが融合した、まさに「飾りと機械の調和」を体現する一本である。
この時計の第一印象を決定づけるのは、その特徴的な反転機構を持つケースである。サイズは縦約34.3mm×横約21mm、厚さ約9mmという細長いプロポーションで、女性の繊細な腕元に美しく収まる。素材はステンレススチールで、サテン仕上げとポリッシュ仕上げを巧みに使い分け、光を受けるたびに複雑な陰影を描き出す。
最大の特徴は、2つの異なる表情を持つダイアルである。表側のダイアルは、マザー・オブ・パール(真珠層)で作られ、繊細なギョーシェ(機械彫り)模様が施されている。このクラシックなダイアルには、4時から8時にかけて配置されたアラビア数字と、12時位置の「REVERSO」の文字が、高貴な雰囲気を醸し出している。特徴的なドーフィン針が、優雅に時を刻む。
そして、ケースを反転させると現れる裏側のダイアルは、夜空をイメージした漆黒のダイアルと、キラキラと輝く星々のモチーフ。このデザインは、1980年代にフランスのアーティストによってレベルソのために描かれたオリジナルのイラストに着想を得ている。そこには、女性らしい遊び心と、夜のロマンチシズムが凝縮されている。
心臓部に搭載されるのは、自社製の手巻きキャリバー844。世界最小級の機械式ムーブメントの一つでありながら、約38時間のパワーリザーブを誇る。その小さなボディに秘められた精度は、ジャガー・ルクルトの高度な技術力を物語っている。
ブラックのアリゲーターストラップと、ピンバックルが、全体の優雅な雰囲気を引き締めている。30mの防水性能も、日常使いにおける実用的な配慮である。
レベルソ・ワン Q328853Jは、単なる時計ではない。それは、90年以上の歴史を持つアイコニックなデザインと、現代の女性のためのアートが融合した、飾りと機械の調和を奏でる逸品なのである。 |