45ミリの18カラットローズゴールドケースは、ヴァンガードシリーズの特徴的な非対称デザインを継承し、時計製造の伝統的規範に挑戦する。ケースの側面には、複雑な曲面加工が施され、光の反射によって絶え間なく変化する陰影を生み出す。ローズゴールドの温かみのある輝きが、この前衛的なフォルムを優雅に包み込む。

文字盤は、フランク ミュラーらしい遊び心と技術的挑戦が凝縮された空間である。中央には、永久カレンダーの主要表示が見事に配置され、月、日付、曜日、閏年表示が複雑ながらも驚くほど視認性の高いレイアウトで統合されている。数字はブランド特有の「クロノグラフ」スタイルで描かれ、芸術性と機能性の両立を実現している。

この時計の核心である永久カレンダー機構は、2100年まで手動での修正を必要としない驚異的な精度を持つ。ムーブメントはフランク ミュラーが完全自社製造した自動巻きキャリバーで、表面には高度なハンドフィニッシュが施されている。サファイアクリスタルバックからは、精巧に装飾されたローターと複雑なカレンダー機構の動きを鑑賞できる。

文字盤の外周には、月齢表示が配され、その精密な描写は時計製造の芸術的側面を強く印象付ける。月齢表示の精度は122年ごとにわずか1日の誤差しか生じないという驚異的な水準である。

ケース側面のプッシャーは、永久カレンダーの各表示を独立して調整できるように設計されており、実用性が考慮されている。この複雑な機能を、直感的に操作できる点に、フランク ミュラーのユーザーへの配慮が窺える。

ブラックのアリゲーターストラップは、ローズゴールドケースとの視覚的調和が取れており、時計全体にフォーマルな品格を与える。ストラップにはローズゴールド製のフォールディングクラスプが装備され、細部までこだわりが貫かれている。

V45SCDTTTBR5Nは、単なる複雑時計を超えて、フランク ミュラーが提唱する「複雑機構の芸術的表現」の極致を示す作品である。その存在は、伝統的な時計製造技術が、現代的な感性と大胆なデザインによって、いかに新たな生命を吹き込まれるかを証明している。時計愛好家だけでなく、現代芸術の愛好家をも魅了するこの時計は、腕に収めた者に、時間の経過そのものが持つ詩的な美しさを想起させるだろう。