この時計の第一印象は、その圧倒的な「軽量さ」と「存在感」の共存にある。45mmのケースは、高硬度かつ驚くほど軽量なホワイトセラミックで作られている。そのマットな質感とモノブロック構造は、ランボルギーニのカーボンモノコックを彷彿とさせ、極限のスピードに耐える剛性を感じさせる。

文字盤は、時計の「心臓部」を大胆に露出させたスケルトン設計。360度回転する「テンション・プロペラ」と、斜めに配置された二つのトゥールビヨンケージは、ランボルギーニのV12エンジンルームから直接着想を得ている。それは、単に時刻を刻む以上の、機械の鼓動そのものを視覚化した、圧巻のメカニカルアートである。

内部には、ランボルギーニのエンジン開発チームと共同設計した手巻き式キャリバーRD103SQが搭載される。時計の「性能」を最大化するために、シャシーとエンジンの関係のように、ムーブメントとケースが一体不可分として設計されているのだ。

ロジェ・デュブイ エクスカリバー スパイダー アヴェンタドールSは、単なる時計ではない。それは、究極のパフォーマンスを求める情熱が、時計製造という領域で結晶した、挑戦の証なのである。白きセラミックのボディに込められたのは、速度への憧れではなく、機械への深い畏敬の念なのである。