その最大の特徴は、従来のルミノールのイメージを覆す、わずか10.7mmという薄さにある。1950年代の歴史的モデルを彷彿とさせる47mmの大型ケースから一転、42mmという普遍的なサイズに縮小され、正装時のシャツの袖口にも容易に収まる優雅さを実現した。これは単なる小型化ではなく、歴史的デザインの本質を損なうことなく、現代の Wearability（着け心地）を見事に達成したのである。

ケースは磨かれたステンレススチール製。ブランドの代名詞である「コーロンカボ」（クラウンガードプロテクション）は、その存在感を保ちつつ、しなやかな曲線で洗練されたプロポーションに収まっている。文字盤はパネライらしい高い視認性を堅持し、大型のインダイヤルと針には強力な「スーパー・ルミノヴァ®」夜光塗料が塗布される。ブラックの背景とクリーム色のインダイヤルが醸し出すヴィンテージの風合いは、歴史への深い敬意を感じさせる。

内部にはパネライ工場で調整された自動巻きムーブメント「キャリバー OP XXXIV」を搭載。3日間のパワーリザーブと十分な精度を備え、日常のあらゆる局面で信頼性を発揮する。30メートル防水というスペックは、本格的な潜水工具ではないが、日常生活における万全の安心を約束する。

パネライ ルミノール ドゥエは、単なる時計ではない。それは、海軍の厳しい環境で生まれた勇壮な歴史を、現代の都市生活に適した優雅なかたちで解釈した、比類なき「架け橋」なのである。その腕は、歴史の風格と現代の実用性という、二つの世界を軽やかに行き来する。