「マスター・オブ・コンピケーション」——複雑機構の魔術師として知られるフランクミュラー。しかし、ブランドの真の象徴は、その独創的なケースデザインにある。モデル「トノウカーベックス インターミディエ 2251QZD」は、ブランドの代名詞である「曲がった樽(Cintrée Curvex)」型ケースを、最もエレガントにまとめた一枚である。
その最大の特徴は、文字通り「芸術的な曲線」を描くケース形状にある。左右非対称の美しいカーブは、人間の手首の形状に完璧にフィットするように計算され尽くしており、比類のない着け心地と独特の存在感を生み出す。これは単なるデザインではなく、機能美と芸術性が融合したフランクミュラー哲学の結晶なのだ。
文字盤は、ブランドを象徴する「巨大なアラビア数字」と、愛らしい「ポアンソネ」型の針が特徴的だ。この遊び心のあるデザインは、高級時計の格式張ったイメージを軽やかに脱ぎ捨て、独自の「楽しさ」と「エレガンス」を創出する。モデルによってはダイヤモンドをあしらった華やかなものもあり、ジュエリーとしての側面も併せ持つ。
ケースとブレスレットには磨かれたステンレススチールや18Kゴールドが用いられ、その美しい曲線は光を反射し、しなやかでありながらも確かな存在感を放つ。その内部には、自動巻きまたは手巻きの機械式ムーブメントが息づき、時を正確に刻み続ける。
フランクミュラー トノウカーベックスは、単に時を刻む道具ではない。それは、型破りな発想と、職人技が生み出した「芸術作品」である。その独特の曲線は、時計デザインの常識を覆し、身に着ける者に他にはない個性と楽しさを与える。時計という枠組みを超え、ワンピースのアートとして腕元を彩るのである。 |