激しい馬球のプレー中でも正確無比な時を刻む――リシャール・ミルとアルゼンチンの馬球スター、パブロ・マクドノーが共に挑んだのは、まさにこの不可能とも思える命題でした。その答えが、驚異的な耐衝撃性を誇る「RM53-01」です。過酷な衝撃に耐えるために、その構造は根本から再考されました。
この時計の心臓部、トゥールビヨン・ムーブメントは、二枚の分厚いサファイアクリスタルの間に、ワイヤーサスペンションシステムによって「浮遊」しています。まるで空中に浮遊する芸術品のようです。この独創的な懸架構造こそが、あらゆる方向からの衝撃を吸収し、繊細な機械を守る鍵。従来の固定方法では到底実現できない、画期的な耐衝撃性能を実現しました。
さらに、ケース素材には軽量かつ高い強度を持つLCP（液晶ポリマー）とCarbon TPT®が採用されています。これにより、時計全体の軽量化と強靭性が両立。激しい動きの中でも手首にフィットし、負担を軽減します。文字盤は骨格化され、複雑なサスペンションシステムと精緻なトゥールビヨンの動きを大胆に披露。機能美と技術美がここに融合しています。
もちろん、その卓越した性能には代償が伴います。その製造には途方もない技術と時間が必要とされ、結果として、その価格は1億円を優に超える超限定モデルとなりました。しかし、RM53-01は単なる道具ではありません。極限の環境下での精度を追求する意志、機械式時計の限界に挑むリシャール・ミルの精神、そしてパブロの情熱が結晶した、ハイ・ホロロジーの頂点に立つ傑作なのです。それは、究極の耐衝撃性を身にまとう、という新たなラグジュアリーの形を体現していると言えるでしょう。 |
