2001年、バーゼルワールドで電撃デビューしたRM 001は、これまでの高級時計の常識を覆す“フューチャリスティック”な一本だった。39.7×47.8mmのトノー型ケースは、航空宇宙素材カーボンファイバーで成形され、重さわずか約55g。シースルーのサファイアフロントから覗くトゥールビヨンケージは、まるで宇宙ステーションのサテライトのように360度回転し、重力補正のドラマを魅せる。
内部に収まった手巻きキャリバーRM 001は、ベースプレートにチタンを採用し、耐衝撃性を飛躍的に向上。トゥールビヨンは60秒で1回転し、振り子は可変慣性タイプで±2秒/日という高精度を達成。パワーリザーブは約70時間。さらに、ケース側面に開けられた大型アパーチャは、内部機構を立体的に見せ、時計そのものが彫刻作品のようだ。
ストラップはワンタッチ交換式ラバーで、レーシングスーツにもジャケットにも溶け込む。RM 001は、素材、構造、デザインすべてが“これまでにない”として瞬く間にコレクター市場で神話化され、今日のブランドアイデンティティの原型となった。 |